公演記録#6.砂の数だけ握りしめて(‘97.11.16)

【会場】奈良教育大学 講堂
【キャスト】松田英子、四宮 豊、二宮 豊、星川大輔、岩瀬直子、佐藤佳世子、柴田貴之、近藤亜紀子、藤居 徹、川城精司、平山聡子etc
【あらすじ】
自殺の名所である岬でまさに身を投げようとする男。どうも彼は政治家の秘書か何かで、その政治家の罪をかぶって身代わりに詰め腹を切らされるような形で死なざるを得ないらしい。「名所」だけのことはあってたくさんの男女が行き会わせ、身を投げる順番を争ったり、自殺の動機を語り合ったりしているうちに、この世の終わりに「袖振り合うも多生の縁」とばかりに、宴会を開くことになる。そうこうしているうち何だか自殺するのが馬鹿らしくなったり、また生きようと思い直したりで一人去り二人去る。だが、さっきまではしゃいで宴を取り仕切っていた冒頭の男一人は、結局最後に身を投げてしまう・・・。
「私のために死ぬんじゃありませんから。私にはこれしかないんです」
【解説】
元は劇団大阪新撰組の戯曲。
砂粒を握りしめることが、登場人物にとって、そしてもちろんこの芝居にとって大きな転機になる。まず宴会に飛び入り参加していた、町の自殺防止課職員が、かつて、自殺しようとしていた少女を説得しようとして失敗し、走り去って身を投げた少女の背中を目に焼き付けて地に這い砂粒を握りしめたという告白を聞き、これまで自殺を望んでいた側の彼らが少女の死を悼む側に転じるという瞬間。それまで余計な闖入者として課長と一緒に全身で跳ね回って自殺志願者たちの宴会を好きなようにかき回していた彼女が、突然体験の中から真情を吐露し、再びそこで砂粒を握りしめる転換点が秀逸。
キラキラ座での上演時には、事もあろうに「講堂の天井に穴を開ける(!)」というとんでもない伝説が残っている・・・
公演記録#4.底抜けのバケツ(‘96.11.17)

【会場】奈良教育大学 講堂
【スタッフ】作●二宮 豊、演出●太田垣 学、小道具●藤原亮祐etc
【キャスト】園長・・・二宮 豊、若宮・・・添谷史香、京子・・・久下沼有希子、時枝・・・四宮 豊、原田・・・星川大輔、那須・・・川城精司
【解説】
劇団キラキラ座史上初のオリジナル戯曲。
脚本は、4月に一旦の完成をしてから約4ヶ月の間の加筆期間を経たため、量的に倍となり、出演者も増え、内容的にも充実している。公演時には演出、役者の力によって、よりスマートに、かつ笑いの要素が増加している。本作品に限らず芝居は関係者全員の作品だなっと思うことシキリだ。特に演出の太田垣 学は、さすが座長と呼ぶべき働きであった。
特に大小道具に力を入れ、本物の事務机の使用、リモコンによる怪獣の操作、素焼きの亀など苦労、つまり見どころが多かった。上演時間は約1時間15分。
【台本全文】
底抜けのバケツ/前半
底抜けのバケツ/後半