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一枚のパンツ

今日もボックスには、女性陣がミシンを動かす音が響く。
入口にたてば、数々の衣装がハンガーにかかって、役者の体を彩るのを待っているのが一望できる。

その中で、静かに自己主張を続ける一つのアイテムがある。


―黒い女性用の、パンツ。

♯31.毛皮のマリーにおいて、マリー様が着用なさった、パンツ。


過去の衣装整理の際、ふとしたきっかけで再び日の目を見ることとなったこのパンツは、「とりあえずかぶってみたい」という一人の男の、たわいもない、本当にたわいもない欲望が引き金となってボックスに吊るされることになった。

誰一人としてそれを取り去ろうと考えないあたり、キラ座団員に良識というものはないらしい。





お昼の休憩時、気まぐれな雨から避難してきた団員達で、ボックスはすし詰め状態となっていた。
ほか弁をかきこむ者、ピロシキをほおばる者、湿っぽい空気の中にあっても、団員達の表情は伸びやかで暖かだった。


不意に、一人の団員がパンツを見やる。



「ほかのも、こうなのか。」



午前の稽古を終え、ランナーズハイな役者の、とめどない妄想が爆進しはじめる。
いけない、こんな、おてんと様の見ていらっしゃる下で、そんな。


あらゆる角度から観察を行い、好奇心のままに撫でまわす。



ツヤツヤとパンツで遊ぶ一同を眺めながら、一人の団員は、思った。

「最低だ」

さらに合わせてこう思った。

「やっぱりここは、僕の居場所だ」




本番まで残り2週間。
団員達の心に潤いが訪れた。
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テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

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